2023年、フランスで年金支給開始年齢を62歳から64歳へ引き上げる改革に対し、100万人を超える抗議デモが起きた。多くの大学生・高校生も加わった——彼らが実際に年金を受け取るのは数十年先だ。自分の利害を超えた連帯と、若年失業率19%という重い現在地。この記事では、この2つを同時に見る。
2023年年金改革抗議の規模、15〜24歳の失業率が全体の2倍以上という現在地、そして2023年の改革を経てもなお2045年までに財政赤字が拡大し続けるという長期見通しまでを確認する。
2023年、フランス政府が年金支給開始年齢を62歳から64歳へ段階的に引き上げる改革案を示すと、100万人を超える人々が全国でデモに参加した。世論調査では大多数のフランス国民がこの引き上げに反対しており、大学や高校の学生たちも街頭行動に加わったと報じられている。彼らの多くが実際に年金を受給するのは、2060年代以降のことだ。
この行動は、単純な自己利益では説明しにくい。この記事では、フランスの若者が置かれている現在の経済的な現実と、抗議の対象になった年金制度そのものの長期見通しを、それぞれ確認する。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)によれば、2024年第3四半期の15〜24歳の失業率は19.7%まで上昇し、2025年に入っても19%台の高水準が続いている。同時期の全体の失業率が7.4%前後で推移していることを踏まえると、若年層の失業率は全体のおよそ2.6倍に達する。
年金諮問会議(COR)の試算によれば、2023年の改革は2030年までは財政赤字の水準をおよそ横ばい(2025年50億ユーロ超・2030年68億ユーロ、GDP比0.2%程度)に抑える効果があるとされる。だがその後の悪化は止まらない——赤字は2035年に150億ユーロ、2045年には300億ユーロまで膨らみ、GDP比では2045年に0.9%、2070年には2.4%に達すると見込まれている。2045年までの累積赤字は、フランスの公的債務に4,700億ユーロを積み増す計算になる。
「痛みを伴う改革」を受け入れても、問題は先送りされただけで、根本的には解決していない。若者たちが感じ取っていたのは、この構造そのものだったのかもしれない。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)の住宅調査によれば、18〜29歳の46%が年間の全部または一部を親と同居して過ごしている——この割合は2001年以降上昇を続けている。年齢別に見ると、18〜24歳では3人に2人(65%)が親と同居し、25〜29歳でも5人に1人(20%)が同居を続ける。2020年の全国住宅調査では、親と同居する成人はおよそ500万人に達し、2013年から25万人増加した。この現象は、2001年の同名映画にちなんで「タンギー世代」と呼ばれる。
親と同居する成人のうち130万人は就労している。低すぎる賃金・高すぎる家賃・不足する公営住宅が、独立を妨げる要因として指摘されている。
地方で育った若者の半数は19歳になる前に実家を出るのに対し、都市部で育った若者でこの年齢までに独立するのはわずか16%にとどまる。独立のタイミングにも、都市と地方で構造的な差がある。
2人に1人は19歳になる前に一度は実家を出るが、4人に1人は23歳になっても一度も出たことがない。年金という数十年先の制度不安と、実家を出られないという今この瞬間の現実は、同じ経済構造の異なる断面だ。
フランスの学生たちが自分には数十年先の改革のために声を上げたという事実は、世代間の対立というより、世代を超えた連帯として読むこともできる。同時に、若年失業率19%という彼ら自身の現在地は、年金という遠い将来の問題以前に、目の前の経済的な現実の重さを示している。88_korea・95_hongkongで見た教育投資・住宅という重りとは異なる形で、フランスの若者は「制度の持続可能性」という、より抽象的な重りを引き受けている。政策の当否を論じることは本記事の範囲を超えるため、ここでは統計が示す構造の紹介に徹した。
若者の抗議のすべてが、自分の目先の利益のためとは限らない。制度そのものへの不信は、世代を超えて共有されうる。
本記事の要約・引用元。政府統計・公的諮問機関の試算・報道機関の集計を組み合わせている。
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