カンボジアの人口中央値は26.4歳、65.3%が30歳未満という、世界でも有数に若い国だ。だがこの若さは、1975〜79年のクメール・ルージュ政権下で人口の4分の1が失われたという、痛ましい歴史の裏返しでもある。この記事では、極端な若さの由来と、その若い世代の多くを雇用する縫製産業という現在の姿を追う。
クメール・ルージュ政権下で失われた人口4分の1という規模、政権崩壊後に出生率がほぼ倍増したという人口動態の反動、80万人以上を雇用する縫製産業という現在の経済構造、そして虐殺後の世代間トラウマに関する学術研究までを確認する。
2026年時点で、カンボジアの人口中央値は26.4歳。人口の65.3%が30歳未満、46.8%が25歳未満という、世界でも有数に若い人口構成を持つ。この若さは一見、明るい人口ボーナスの物語に見える。だがその由来をたどると、1975年から1979年にかけてのクメール・ルージュ政権下で、150万人から200万人——当時の人口のおよそ25%——が虐殺・飢餓・過重労働によって命を落としたという歴史に行き着く。
政権崩壊後の1980年代、出生率はほぼ倍増し、政権以前の水準に近い1人あたり7人近くまで回復した。今のカンボジアの若い人口構成は、この人口学的な反動の延長線上にある。
この若い人口を雇用の面で支えているのが、縫製・繊維・履物産業(GTF)だ。この産業は83万人以上を雇用し、正規雇用に限れば約70〜80万人規模、うち約8割が女性で、多くが30歳未満、65%以上が24歳未満という若い労働力だ。全賃金労働者の92%が35歳未満という統計もある。2023年時点の最低賃金は月額200ドル、平均的な手取りは月260〜280ドル程度で、労働者の75%以上を占める若い女性たちが、家族の生計を支えるために故郷へ送金している。
今のカンボジアの若者は、全員がクメール・ルージュを直接経験していない、生存者の第2・第3世代にあたる。だが学術研究は、この歴史が世代を超えて影響を及ぼしている可能性を示している。生存者の子や孫は、そうでない場合と比べて不安・うつ・PTSD症状の割合が高いと報告する研究があり、母親のPTSD症状の強さが娘の不安症状を予測するという知見や、生物学的・心理社会的な複数の経路(ストレス応答系・エピジェネティックな変化・養育環境)を通じた伝達の可能性が指摘されている。ただし遺伝的な伝達の証拠は限定的で、さらなる研究が必要とされている。
今のカンボジアの若さを「人口ボーナス」という明るい言葉だけで語ることはできない。その若さの起点には、直接経験していない世代にも影響が及びうる、大きな喪失がある。
クメール・ルージュ政権は、当時の学校の90%以上を破壊し、教員のほとんどを失わせたとされる。1980年代後半の再建開始時点では、機関も教員もほぼゼロに近い状態だった。そこから積み上げられた回復は大きい——15〜24歳の識字率は1998年の76.3%から、2023年には96.6%まで上昇した。初等学校の数は1992/93年度の4,500校から2017/18年度には7,200校まで、60%増加した。
この回復の過程で、もう一つの逆転が起きている。若年層の識字率は女性96.5%が男性95.4%をわずかに上回り、前期中等教育の修了率でも女子67%が男子57%を上回る。教育へのアクセスという点では、女性が男性に先行する形で回復が進んだ。
縫製産業で働く若い女性たちの多くは、この再建された教育システムの中で育った世代でもある。人口の若さの由来には大きな喪失があったが、その後に積み上げられた回復もまた、統計として確かに存在する。
カンボジアの人口構成は、91_indiaのような自然な人口成長の若さとは異なる、歴史的な断絶の後に再構築された若さだ。縫製産業という現在の経済的な受け皿と、世代を超えて伝わりうる歴史の重みが、同じ若い人口の中に同居している。政策の当否や歴史的評価を論じることは本記事の範囲を超えるため、ここでは人口統計と学術研究が示す構造の紹介に徹した。
人口ピラミッドの形は、いつも単純な成長の物語を語っているわけではない。時に、それは大きな喪失の後に再び積み上がった、回復の痕跡でもある。
本記事の要約・引用元。人口統計・産業統計・学術研究を組み合わせている。
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