見積もりで困るのは、金額を出すことだけではありません。前提が足りないまま話が進むことです。AIは見積もり金額を決める前に、足りない情報を見える化するために使えます。
問い合わせメモと確認項目リストを照らし合わせて、「確認済み」「要確認」「不要そう」に分けます。AIに任せるのは見積もりではなく、見積もり前の聞き漏れチェックです。
「サイトを作りたいです」「だいたいで見積もりください」「急ぎです」。こういう相談を受けたとき、すぐAIに返信文を書かせることはできます。
ただ、返信文がきれいでも、確認すべき前提が抜けていたら見積もりは不安定になります。ページ数、原稿、写真、予約導線、公開希望日、公開後の更新担当。ここが曖昧なままでは、金額も納期も決めにくい。
だから、AIに見積もりを書かせる前に、問い合わせ内容をチェックリストにかけます。
今回の題材は、架空の整体院サイト制作相談です。実在の顧客情報、案件情報、問い合わせ文は使っていません。
この画面で見たいのは、文章の上手さではありません。どの前提が確認済みで、どれがまだ聞けていないかです。
たとえば、次のようなメモを使います。
小さな整体院のサイトを作りたいです。
今はInstagramだけで案内しています。
メニュー、料金、アクセス、予約への導線を載せたいです。
できれば来月中に公開したいです。
写真はスマホで撮ったものがあります。
予算はまだ決めていません。
このメモだけでも、公開希望や写真の有無は分かります。一方で、ページ数、予約フォームの有無、原稿の担当、公開後の更新担当はまだ見えていません。
チェックリストの列は、最初から多くしすぎない方が扱いやすいです。Lite版ではこのくらいで十分です。
| 列名 | 役割 |
|---|---|
item_id | 確認項目のID |
category | 構成、素材、予約、運用などの分類 |
question | 確認したい質問 |
required_level | 必須、条件付き、任意 |
hint | なぜ確認するか |
大事なのは、質問文だけを並べないことです。「なぜ聞くか」があると、相手に確認するときの文章が自然になります。
AIには見積もり金額を決めさせません。問い合わせメモと確認項目リストを渡して、項目ごとに状態を分類させます。
あなたは見積もり前のヒアリング整理を手伝うアシスタントです。
以下の問い合わせメモを読み、確認項目ごとに状態を分類してください。
分類は次の3つだけにしてください。
- 確認済み
- 要確認
- 不要そう
金額の見積もりはしないでください。
足りない情報を勝手に補完しないでください。
判断理由は短く書いてください。
出力形式:
category,question,status,reason,next_question
ここで重要なのは、「補完しない」と明示することです。見積もり前の段階で危ないのは、分からないことを分かったことにしてしまうことです。
チェック結果が出たあとで、はじめて返信文を作ります。
お問い合わせありがとうございます。
概算を出す前に、制作範囲を確認したいため、次の点だけ教えてください。
1. サイトは1ページにまとめる想定ですか。複数ページを想定していますか。
2. 予約は外部サービスへのリンクでよいですか。サイト内フォームが必要ですか。
3. メニュー説明や院の紹介文はご用意済みですか。
4. 公開後の料金変更やお知らせ更新はご自身で行う想定ですか。
AIが作るべきなのは、金額ではなく、確認のための文章です。質問数が多すぎないか、相手に送ってよい言い方かは人間が最後に見ます。
この記事用に、架空メモ、確認項目CSV、基本プロンプト、列ガイドをまとめたLite版を用意しました。
見積もり前チェック Lite を置きました。架空のWeb制作相談、確認項目CSV、基本プロンプト、列ガイドの最小セットです。AIに見積もり金額を出させるのではなく、聞き漏れの確認に使います。
3つのLite版をまとめて差し替えたい方向けに、AI Mini Tools Starter PackをBOOTHで公開しました。 完成アプリではなく、検索・問い合わせ整理・見積もり前チェックをAIに渡しやすく整理するための手順書・プロンプト集です。価格は500円です。
有料版を選ぶ前に、500円版と980円版の違いを確認できます。 全体像がほしい場合はStarter Pack、無料Liteを自分用に差し替える作業を進めたい場合はReplace Workbookです。
有料版に広げるなら、Web制作だけでなく、EC商品登録、イベント運営、修理受付などに確認項目を増やす方向が自然です。
AIに見積もりを任せる前に、AIで聞き漏れを見えるようにする。この順番の方が、安全で、実務に乗せやすいです。
見積もり金額は、人間が責任を持って決める。AIには、その前段の整理を任せる。小さな業務ツールとしては、このくらいの役割分担がちょうどよいと思います。
次は、無料Lite、Starter Pack、Replace Workbookのどれを選ぶべきかを整理します。