Claudeは優秀なエンジニアだが、単純なバグの説明にも大げさな比喩を挟んでくる持病がある。この不満にHacker Newsで163ポイント・115コメントが集まった。個人開発者が作ったOSSスキル「NoBuzz」は、Claudeの回答を自分で言い直させず、別モデルにそのまま翻訳させて黙らせる、という発想で解決している。
NoBuzz(Claudette)の一次情報(GitHub README)から、/debuzzコマンドの3モードと別モデルへ翻訳を丸投げする設計、エラー時の挙動という具体的な仕様を整理したもの。CLAUDE.mdに「装飾を減らせ」と書くだけでは効かない場面の代替策として持ち帰れる形にする。
NoBuzzのREADMEは、開発の動機をこう書いている——「Claudeは治らない持病を持った優秀なエンジニアだ。TEDトークを届けているみたいに話す、という持病を」。単純なバグの原因を尋ねただけなのに、劇的な言い回しや数字で並べられた"啓示"のような回答が返ってくる、という不満を指している。
この一言に対する反応の大きさが、この話題の広さを裏付けている。Hacker Newsでは163ポイント・115コメントという反応がついた。技術的には小さなラッパーツールだが、「AIの話し方そのものが仕事の邪魔になる」という感覚に、多くの開発者が心当たりを持っていたということだろう。
構文は /debuzz [mode] [text]。引数なしで実行するとClaudeの直前の回答を処理し、テキストを指定すればそれを変換する。「もっと普通の英語で言って」のような自然言語の呼びかけでも起動する。対象読者ごとに、翻訳の粒度を変える3モードが用意されている。
エンジニア向け。ファイルパスとコードブロックは保持したまま、装飾的な言い回しだけを削ぎ落とす。技術的な正確さを損なわずに読みやすくする、実務向けのモード。
技術寄りの管理者向け。「何が起きたか・なぜ重要か・次は何をするか」の3点に絞り、コードは含めない。元の分量の約1/3の長さまで圧縮される。
経営層向け。3〜5文で結果・影響・要求を伝える、30秒程度の注意力しか割けない相手を想定した最も短いモード。
NoBuzzの一番の工夫は、変換処理をClaude自身にやらせていない点にある。内部ではagyコマンド経由でGoogleのAntigravity CLIを呼び出し、Geminiに翻訳させている。READMEはこの役割分担をこう表現する——「Antigravity CLIの唯一の仕事は、それを人間らしく言うことだ」。
実装レベルでは、Claudeの回答を一時ファイルに保存し、agy -p "$(cat <file>) <plain-English style instructions>" という形でAntigravity CLIに渡している。そして重要なのが、Claudette(Claude側)はAntigravityが返した翻訳結果をそのまま出力すると約束している点だ。READMEの原文は「Claudetteは、Antigravityの翻訳をそのまま印字すると指切りげんまんした」という書き方をしている。
ここが核心。エラー時の挙動にも同じ設計思想が貫かれている。agyコマンドが失敗したときは、Claudeが取り繕った言い直しではなく実際のエラーメッセージがそのまま表示される。Claude自身による言い直しは、あくまで「そうと明示的にラベル付けされたフォールバック」としてのみ提供される。失敗を"できました"に見せかけない、という設計が、翻訳ツールという小さなスコープの中にも徹底されている。
このブログの記事生成やスキル運用でも、CLAUDE.mdやスキルの指示文に「装飾を最小限に」「絵文字は使わない」と書くやり方を採っている。だがNoBuzzの発想は、その指示がモデル自身の"喋り方の癖"に対しては効きにくい場合があることを示している。自分の口調を自分で疑うより、別モデルに一度通す方が、癖を客観的に洗い流しやすいという発想だ。
この設計は、Claude Codeの検証ループをSkillに埋め込む——公式パターンを自分の運用に当てはめるで扱った「決定論的なシグナルで自分の作業を確認する」考え方の親戚でもある。NoBuzzが検証しているのは正確さではなく口調だが、「Claude自身の自己申告を鵜呑みにせず、外部の確認手段を挟む」という構造は同じだ。
留保: 動作にはClaude Code環境に加えてAntigravity CLI(agy)の導入と、初回のGoogle Sign-Inが必要になる。Windows環境や日本語テキストでの再現検証はしておらず、この記事は一次情報(GitHub README)の内容整理にとどまる。実際に導入する場合は認証を伴う外部CLIを追加すること自体のリスクも含めて検討したい。