「毎回承認を取る」か「全部任せる」かの二択で悩んでいないだろうか。Addy Osmaniが提示する自律性のフレームワークは、それを1本の梯子ではなく2つの軸で考え直す。
「エージェンシー」と「オーケストレーション」という2軸・6段階の地図と、自分の日々のタスクをどのレベルに当てはめるかの判断基準。
AIエージェントにどこまで任せるかを考えるとき、多くの人は「承認必須」から「全自動」までを一直線の梯子として捉えてしまう。だがAddy Osmaniの「Agentic Autonomy Levels」は、これを独立した2つの軸に分解する。
1つはエージェンシー軸——1体のエージェントがどれだけ自主的に動けるか。もう1つはオーケストレーション軸——複数のエージェントをどれだけうまく調整できるか。この2つは別物であり、「自律性が高い」の中身は「1体が賢く動く」ことと「複数体をうまく捌く」ことの両方でありうる。
Claude CodeやCodexの実際の機能に当てはめると、抽象論ではなく手元の道具の話になる。
L0はオートコンプリートやインライン編集提案のように、人間が最終判断を下す段階。L1はエージェントが実行前に承認を求める——これがデフォルトの姿勢とされる。Claude Codeの権限モードが「Manual」既定であることも、まさにこのL1に対応する。
L2は明確なゴールと制約を持つ有界タスクを、人間が近くで見守りながら任せる段階。L3はゴール達成まで実行を続ける——例えば「ページの操作時間を1秒以下に減らす」のように、成功条件がはっきりしたタスクに向く。Claude Codeの/plan/goal、Codexのゴールモードがこれに対応する。
L4は複数エージェントが並列で動き、それぞれが分離されたファイルを所有する段階。L5はマネージャーエージェントがワーカーを派遣・監視し、人間は例外時のみ介入する。Claude Codeの/background/batch、Codexのワークツリー機能がここに当たる。
著者は、エージェントを走らせる前に「何を・どの範囲で・どのゴールまで・どこで止めるか・何を証拠にするか・予算はいくらか」を定めた契約が先にあるべきだと主張する。それを判断するための問いは3つに絞られる。
安全に登れるかの3問。①ミスに気づくまでの速さ、②作業を取り消す容易さ、③正しさを裏付ける証拠があるか。この3つが揃っているタスクだけ、1段上のレベルに任せてよい。
著者が示す使用基準を、日々の判断にそのまま使える形にする。
著者は4つのアンチパターンを警告する。自律性レベルをステータスのように誇示すること、「毎回聞かれるのが面倒」という許可疲労で必要以上の権限を渡してしまうこと、要約を読んだだけで検証を済ませたことにすること、そして複数エージェント運用を人間が手動で仲介し続けること(それはL4以上の自動化ではなく、単に人間のオーバーヘッドが増えているだけ)。
結論はシンプルだ。成熟したチームの姿勢は「自律性を最大化すること」ではなく、リスク・取り消し可能性・検証手段に見合った自律性を選ぶこと——校正された自律性。