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そのタスク、AIにどこまで任せる

「毎回承認を取る」か「全部任せる」かの二択で悩んでいないだろうか。Addy Osmaniが提示する自律性のフレームワークは、それを1本の梯子ではなく2つの軸で考え直す。

この記事で手に入るもの

「エージェンシー」と「オーケストレーション」という2軸・6段階の地図と、自分の日々のタスクをどのレベルに当てはめるかの判断基準。

01 — よくある誤解

自律性は「1本の梯子」ではない

AIエージェントにどこまで任せるかを考えるとき、多くの人は「承認必須」から「全自動」までを一直線の梯子として捉えてしまう。だがAddy Osmaniの「Agentic Autonomy Levels」は、これを独立した2つの軸に分解する。

1つはエージェンシー軸——1体のエージェントがどれだけ自主的に動けるか。もう1つはオーケストレーション軸——複数のエージェントをどれだけうまく調整できるか。この2つは別物であり、「自律性が高い」の中身は「1体が賢く動く」ことと「複数体をうまく捌く」ことの両方でありうる。


02 — 2軸・6段階の地図

3つのエラに分かれる6段階

Claude CodeやCodexの実際の機能に当てはめると、抽象論ではなく手元の道具の話になる。

01

支援エラ(L0〜L1)——最終判断は人間

L0はオートコンプリートやインライン編集提案のように、人間が最終判断を下す段階。L1はエージェントが実行前に承認を求める——これがデフォルトの姿勢とされる。Claude Codeの権限モードが「Manual」既定であることも、まさにこのL1に対応する。

02

エージェント主導エラ(L2〜L3)——ゴールを渡して任せる

L2は明確なゴールと制約を持つ有界タスクを、人間が近くで見守りながら任せる段階。L3はゴール達成まで実行を続ける——例えば「ページの操作時間を1秒以下に減らす」のように、成功条件がはっきりしたタスクに向く。Claude Codeの/plan/goal、Codexのゴールモードがこれに対応する。

03

オーケストレーションエラ(L4〜L5)——複数体を捌く

L4は複数エージェントが並列で動き、それぞれが分離されたファイルを所有する段階。L5はマネージャーエージェントがワーカーを派遣・監視し、人間は例外時のみ介入する。Claude Codeの/background/batch、Codexのワークツリー機能がここに当たる。


03 — 安全に登るための基準

レベルを上げる前に、3つを自問する

著者は、エージェントを走らせる前に「何を・どの範囲で・どのゴールまで・どこで止めるか・何を証拠にするか・予算はいくらか」を定めた契約が先にあるべきだと主張する。それを判断するための問いは3つに絞られる。

安全に登れるかの3問。①ミスに気づくまでの速さ、②作業を取り消す容易さ、③正しさを裏付ける証拠があるか。この3つが揃っているタスクだけ、1段上のレベルに任せてよい。


04 — 自分のタスクに当てはめる

どのレベルを、どのタスクに使うか

著者が示す使用基準を、日々の判断にそのまま使える形にする。

L0〜L1:繊細な作業/まだ判断基準が固まっていない領域承認を毎回挟む。ここを飛ばすと事故に気づけない。
L2:未知の依存関係が残るタスクゴールは明確でも、途中で何が起こるか読み切れないものは人間が近くにいる状態で任せる。
L3:成功条件が言葉で言い切れる領域「〇〇を満たすまで」と明確にゴールを言えるなら、実行を最後まで任せてよい。
L4〜L5:作業がきれいに分割でき、調整方法が定式化された後複数エージェントの並列・自動派遣は、連携の取り決めが先にできてから使う段階。

05 — 落とし穴

自律性を上げること自体を目的にしない

著者は4つのアンチパターンを警告する。自律性レベルをステータスのように誇示すること「毎回聞かれるのが面倒」という許可疲労で必要以上の権限を渡してしまうこと要約を読んだだけで検証を済ませたことにすること、そして複数エージェント運用を人間が手動で仲介し続けること(それはL4以上の自動化ではなく、単に人間のオーバーヘッドが増えているだけ)。

結論はシンプルだ。成熟したチームの姿勢は「自律性を最大化すること」ではなく、リスク・取り消し可能性・検証手段に見合った自律性を選ぶこと——校正された自律性。