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別のAIに仕事を渡すプロンプトは「回収場所」から書く

別のAIセッションやエージェントに作業を委任すると、会話の続きのつもりで曖昧な指示を出して、成果物がどこに出たのか分からなくなることがある。委任が1往復で終わる自己完結プロンプトの型と、そのコツを実例つきで書く。

この記事で手に入るもの

会話を読まなくても実行できる自己完結プロンプトの構成要素と、委任のやり取りを1往復で終わらせる「回収場所を先に決める」というコツ

01 — 委任が2往復、3往復になる理由

「続きは分かるよね」が伝わらない

同じAIとの会話の中で作業を続けるときは、直前の文脈を暗黙に共有できる。だが、別のセッションや別のエージェントに作業を渡した瞬間、その暗黙の共有は消える。渡された側は、この会話で何が起きていたか、何が前提になっているかを一切知らない。

ここで「さっきの続きをお願い」のような指示を出すと、渡された側は前提を推測するところから始めることになる。推測が外れれば、結果を持ち帰って確認し、説明し直し、また作業してもらう——という往復が発生する。委任のコストは、作業そのものよりこの往復の回数で決まることが多い。


02 — 自己完結プロンプトの構成

会話を読まなくても実行できる形にする

別セッションへの委任で実際に使っている構成は、次の4つの要素に分かれる。

01

絶対パス — 「どこで」を一切曖昧にしない

作業対象のディレクトリ・ファイルは、相対パスや「さっきのフォルダ」ではなく絶対パスで書く。渡された側の作業開始位置(カレントディレクトリ)が同じとは限らないため、ここが曖昧だと最初の一手から止まる。

02

背景 — 「なぜ」を1〜2文で添える

作業の目的や、それが何のプロジェクトの一部かを短く書く。背景がゼロだと、渡された側は指示を文字通りにしか実行できず、指示の抜け漏れや曖昧さに気づいて自分で補うということができない。

03

制約 — 「やってはいけないこと」を明記する

委任先が独断でやってしまうと困る操作(公開処理の実行、外部への投稿、課金を伴う操作など)は、その委任プロンプトの中に明示的な禁止事項として書く。会話履歴に頼らず、そのプロンプト単体で行動の境界が分かるようにする。

04

ログの出力先 — 「回収場所」を先に決める

作業が終わった後の成果ログをどこに、どんな形式で残すかを先に指定する。例えば「作業フォルダ直下に SESSION_LOG.md として、完了/未完了/次にやることを書く」のように。回収場所が決まっていれば、依頼した側は会話を追わずにそのファイルだけ見ればよくなる。

ここが核心。4つの要素の中で一番効くのはログの出力先を先に決めることだ。回収場所が曖昧だと、委任した側は「終わったか」「どこに出たか」を確認するためだけに、もう一度会話を往復させる羽目になる。


03 — 実際のプロンプトの骨格

4要素を並べるとこうなる

複数のAIエージェントを役割分担させて運用している場合、実際に使っている委任プロンプトの骨格は次のような形になる。プロジェクト名やタスク内容は伏せ、構造だけを示す。

# 作業ディレクトリ(絶対パス)
You are working in C:\path\to\project.

# 背景
Role: このプロジェクトの◯◯担当として作業する。

# 今回のタスク
Current task:
- <具体的な作業内容>

# 制約(やってはいけないこと)
Approval gates:
- 公開処理・外部投稿・課金を伴う操作はユーザーの明示承認なしに行わない。

# 期待する出力・ログの回収場所
Expected output:
- 作業フォルダ直下に SESSION_LOG.md を残す(完了/未完了/次のアクション)。

この骨格をテンプレート化しておくと、委任のたびに「何を書くべきか」を考え直さずに済む。空欄を埋めるだけで、会話を読ませなくても実行できるプロンプトになる。


04 — 自分の運用に当てはめる

導入するなら、まずこの3つ

複数のAIツールを使い分けている個人開発者はもちろん、同じAIとの会話でも「新しいチャットで続きを頼む」場面があるなら、そのまま使える。

相対パスや「さっきの」を使わない作業対象は必ず絶対パスで書く。
やってはいけないことを先に書く制約を後出しにすると、委任先が既に実行してしまってから発覚する。
ログの出力先を委任前に決める「終わったらどこを見ればいいか」を先に決めておくと、確認のための往復が消える。